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高いお酒はうまいお酒!?
第5話

高いお酒はうまいお酒!?

価格の高いお酒を選ばれて、「値段の良い酒なんだから、どんな方に差し上げても間違いのないおいしい酒なんだろう」と言われるお客様がたまにいらっしゃいます。
もちろん、価格の良いお酒は原料も吟味しておりますし、精白も高いですし、各蔵で自信を持って造っております。

しかし5,000円~10,000円で売られている日本酒は、いわゆる「大吟醸酒」で、非常に華やかな香りの高い酒のため食中酒に向かなかったり、杯を重ねてどんどん飲むというわけにいかなかったりする場合が多くあります。
高級なさしみ醤油を、生卵にまぜてご飯にかけてもアンマッチなのと同じで、日本酒もTPOによって選び分けないとだめだということなのです。

それゆえに、高いお酒であればどんなお客様の口にも合うかといえばそうではなく、どんな食生活やお酒の飲み方やライフスタイルをしているかによって、最も良いお酒というのは変わってくるものなのです。
そういう意味で、安くても良い日本酒というのが存在します。

また、一部の希少有名銘柄で、蔵元からは2,000円前後で出荷されている酒が、5,000円にも10,000円にも価格が付いて売られている場合もあります。この場合は単に流通の問題です。
需要と供給の差が開きすぎているケースで、価格と品質がアンバランスになってしまっていて、高いのでよほど良いかと期待をして飲むと裏切られることが多いです。

お酒選び、おすすめの方法は?

それでは何を基準にお酒を判断するか。それは自分で飲む場合は実際に価格の先入観なしに飲んでみて気に入った酒にすること。単純ですがこれが一番の方法です。
プレゼントで味見ができない場合は、飲まれる方の飲酒スタイルを良く知った上で(いつも飲んでいる酒の銘柄や種類がわかればなおいいです)、信用できるお酒の専門家のいる酒販店さんに相談して買うのが良い手段です。

いずれにしてもお酒は嗜好品です。風評や価格に惑わされることなく、自分の味覚や専門化との会話の中で判断していくことが良いと思います。
また、そうやってじっくり自分に合った隠れた銘酒を探し選ぶのも、日本酒の楽しみのひとつだと思います。

(専務 田中隆太)